同じ音楽が頭の中で流れ続ける現象:イヤーワームについて

音楽や特定のメロディーが頭の中で流れ続けるという現象を経験したことがある人は少なくないかも知れません。

この現象はイヤーワームと呼ばれています。

調査によると、ほとんどの人がイヤーワームを経験したことがあると言われています。

一般的にイヤーワームの頻度は、楽器の演奏家や歌手など音楽の訓練を受けた人の方が多くなる傾向にあるようです。

多くの場合、人はイヤーワームを嫌なものと捉えることは少なく、イヤーワームを楽しむ傾向にあるようですが、場合によってはイヤーワームを不快なものと感じることもあるようです。

イヤーワームが起こる原因については、いくつかの説があります。

その1つは、イヤーワームが脳の情報処理や保持能力に関係しているのではないかという説です。

例えば、イヤーワームが記憶を呼び起こす役割を果たし、重要な情報を思い出すのに役立っている可能性があるということです。

さらに、頭の中で反復する音楽が脳の特定の領域を刺激し、曲をより記憶に残りやすくしている可能性もあると言われています。

ほかの説としては、イヤーワームが人の気分や感情に関係しているのではないかというものです。

不安やストレス、退屈を感じているときにイヤーワームを経験する可能性が高いことが分かっています。

このような場合、脳は曲をネガティブな考えや感情からの気晴らしに使っているのかもしれません。

注意力が低下していたり、怠惰な状態がイヤーワームの前兆になることを示唆する研究もあります。

認知負荷が高いタスクを行うとイヤーワームが減少し、特に言語を駆使する作業になるとイヤーワームが少なくなるようです。

ほかに、イヤーワームを止めるのに有効な方法の1つとしてガムを噛むというのがあるようです。

仕事に集中する、意図的に頭の中で別の音楽を流すといったことで意識してイヤーワームを止めようとすると、かえってイヤーワームが止まらなくなることがあるようです。

これは心理学的にironic mental control theory(皮肉なメンタルコントロール)として知られており、頭の中で起こっていることを無理やり止めようとするとかえってそれが増幅したり止まらなくなる現象です。

何らかの思考を無理やり止めようとしても、止まらずにかえって思考が次々に出てくるというのは珍しいことではありませんが、イヤーワームにも同様のことが起こるようです。

イヤーワームが気になってしまう場合は、無理に止めようとせず、集中が必要な作業をしたり、誰かと会話をする、ガムを噛むといったことで、自然にイヤーワームが止まるのを待つのが良さそうです。

まとめると、イヤーワームは、ある音楽やメロディーが頭の中に残ってしまい、何度も繰り返し流れるものですが、有害なものではなく一般的によく見られる現象です。

イヤーワームは音楽に触れたり、その時々の気分や感情、脳の情報処理状況など、さまざまな要因によって引き起こされます。

イヤーワームが気になってしまうことはありますが、過度に気にする必要はなく、いくつかの方法で対処できることが多いようです。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

参考文献:Involuntary musical imagery as a component of ordinary music cognition: A review of empirical evidence - PMC (nih.gov)

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