砂糖の脳への影響

今回は砂糖の脳への影響についてまとめた記事です。

砂糖を取り過ぎると体に良くないというのは誰もが知っていますが、それは糖尿病などの病気や肥満、虫歯になるからだと思っている人が大半だと思います。

しかし、近年の研究では砂糖の取り過ぎは、脳にも悪い影響があるということが報告されています。

砂糖はブドウ糖(グルコース)と果糖(フルクトース)が結合した糖です。

体内に砂糖を取り入れるとブドウ糖はすぐにエネルギーとして使われ血糖値が上がります。

一方、果糖は肝臓で代謝されてからエネルギーになるので血糖値を上げません。

ブドウ糖は血糖値を上げるので満腹感を感じるようになりますが、果糖は血糖値を上げず満腹感を感じないので、つい食べ過ぎてしまいます。

果糖は果物にも含まれているので、一見すると体に悪いものではないように思えます。

しかし、果物の場合は果糖に加えて食物繊維やビタミン、ミネラルが含まれていますが、砂糖にはそれらがほとんどなく、砂糖に含まれている果糖だけをたくさん取るのは健康に良くありません。

果糖を大量に取るとAGEsと呼ばれる、体内の老化を早めると言われている物質が作られます。

AGEsは動脈硬化、喘息、糖尿病、神経変性疾患などの体内の炎症が関わる病気と関係しています。

砂糖を取り過ぎると、脳細胞を保護するBDNFと呼ばれる物質の体内分泌が低下し、脳の機能に悪い影響が出ることも指摘されています。

たとえば、ラットの実験では砂糖を多く取ったラットは取っていないラットよりも記憶力が低くなることが分かっています。

これは記憶を司る脳の海馬の炎症が関わっていることが指摘されています。

人間の場合、高齢者では砂糖の摂取が多いことと認知症のリスクが高いことが、子どもでは砂糖の摂取が多いことと知能検査の低いことが、それぞれ相関していると報告されています。

(※相関関係の報告なので、これらの研究だけ見るならば、知能検査の低い子どもや認知症になりやすい人がたくさん砂糖を取る傾向にあるという可能性もあります)

砂糖は体内に取り入れるとエネルギーとなり血糖値が上がるので、体に悪いことばかりではないのではないか、ほかのごはんやパン、果物などと何がそんなに違うのかと思われるかも知れません。

ごはんやパン、果物、野菜、豆に含まれる糖質は複合糖質と呼ばれ、砂糖とは異なる糖質になります。

複合糖質の中には体内で消化されて最終的にブドウ糖になるものと、人間では最後まで消化できないものがあります。

ごはんやパンに含まれるでんぷんはブドウ糖まで分解される複合糖質ですが、玄米や全粒粉、野菜、果物、豆に含まれる複合糖質の中には最後まで消化できないものが含まれています。

この消化できない複合糖質は腸内細菌が分解を行います。

腸内細菌は複合糖質を分解する過程で短鎖脂肪酸を作るのですが、短鎖脂肪酸は果糖とは逆に体内の炎症を抑え、食欲や肥満の抑制をもたらす効果があります。

よって、同じエネルギーになるものでも、砂糖をたくさん取れば体内の炎症が進んで脳に悪影響が出ますが、玄米や全粒粉、野菜、果物、豆をたくさん取ると体内の炎症を抑える短鎖脂肪酸を腸内細菌が作ってくれるので、砂糖のような悪影響はないということになります。

血糖値が上がって糖尿病になってしまうと、認知症のリスクが上がると言われていますが、糖尿病にななくても普段から砂糖をたくさん取っていると脳に悪影響が出る可能性があります。

甘いものはつい食べ過ぎてしまうことが多いかも知れませんが、脳の健康のためにも取り過ぎには注意してもらえたらと思います。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

参考文献:https://www.imrpress.com/journal/FBL/23/12/10.2741/4704

http://The impact of saturated fat, added sugar and their combination on human hippocampal integrity and function: A systematic review and meta-analysis - ScienceDirect

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