今回はデジタル眼精疲労についての記事です。
デジタル眼精疲労とは、スマートフォンやPC、タブレットなどのデジタル機器を長時間使うことで起こる眼精疲労のことです。
昨今、デジタル機器が普及してデジタル眼精疲労を自覚する人が増えています。
眼精疲労の原因や対策について紹介していきます。
目次
デジタル眼精疲労の現状
現在のように新型コロナウイルスが感染拡大する前までは、デジタル眼精疲労を訴える人は一定数いて(報告によって5~65%とばらつきがありましたが)、コロナ渦以降は80~94%まで上昇したと報告されています。
これは新型コロナウイルスの影響で、世界各地でロックダウンや外出自粛が行われ、人々のデジタル機器の使用時間が長くなったことが関係している考えられます。
子どもの場合、デジタル眼精疲労を認める割合は、コロナ渦以前は約20%でしたが、コロナ渦以降、オンライン授業が普及したのも影響してか、デジタル眼精疲労の割合は50〜60%に上昇しています。
デジタル眼精疲労の症状
デジタル眼精疲労には以下の症状があります。
・目の疲れ、不快感。
・目の充血、かゆみ、痛み
・ドライアイ
・涙が出る
・視界がぼやける
・まぶしさを感じる、目を開けていられない。
・頭痛
・肩こり、首や背中の痛み
・吐き気
人によって症状は様々ですが、こうした眼精疲労の症状によってスクリーンを見続けるのが難しくなったり、生活の質が落ちてしまうことがあります。
デジタル眼精疲労の原因
デジタル機器の長時間使用による目の酷使
デジタル機器を長時間使うことで眼精疲労が発生します。
現代では多くの人がスマホを使っていて、普段からスクリーンを見る時間が増えています。
人によっては、それに加えて仕事や勉強でPCやタブレットなどを使っているため、仕事・勉強でもプライベートでもスクリーンをずっと見ており、デジタル眼精疲労を起こしやすくなります。
目の病気や不調によるもの
デジタル機器の長時間使用に加えて、元々持っている目の病気や不調がデジタル眼精疲労を悪化させることがあります。
近視、乱視、老眼
近視、乱視、老眼がある場合、スクリーンを近くで見ようとしたり、スクリーンを見ていてもピントが合わなかったりして、視力が正常な状態よりも目を酷使することが増え、眼精疲労が強くなります。
ドライアイ
ドライアイがあると眼精疲労が強まります。
コンタクトレンズを長時間使っていると、目が乾燥しやすくなるので、眼精疲労を強く感じることが多くなります。
白内障、緑内障、斜視
白内障、緑内障、斜視がある方は、正常にものが見えなくなって、デジタル機器を長時間使うと眼精疲労を強く感じるようになります。
また、目が見えにくいと思って眼精疲労かなと思っていても、実は白内障や緑内障が進行している場合もあるので、その時は注意が必要です。
眼精疲労対策を色々行っても改善しない場合は、白内障や緑内障の可能性があるため早めに眼科を受診して下さい。
そのほか体の病気・不調、ストレス
身体の病気やストレスがあると、眼精疲労を強く感じる場合があります。
デジタル眼精疲労対策
スクリーンを使う時間を減らす
1日の中でスクリーンを見る時間をなるべく減らすことが大切です。
目安としては1日4時間以内が良いとされていますが、眼精疲労が強い場合は可能な限りスクリーンを見る時間を減らした方が良いでしょう。
連続して長い時間使うことは避けて、30分~1時間ごとに毎回休憩を取るようにして下さい。
スポーツや趣味など、デジタル機器を使わない楽しみに時間を費やすことを習慣にすると、自然とスクリーンを使う時間も減ってきます。
まばたきの回数を増やす
まばたきは、涙を目の表面にめぐらすことで、眼の表面を正常に保つのに役立っています。
スクリーンをずっと見つめていると、まばたきの回数が減る傾向にあることが分かっています。
ある研究では1分当たりのまばたきの回数が18.4回から3.6回へ、別の研究では22回から7回へと大幅に減少することが報告されています。
まばたきが少ないと、目が乾燥しやすくなり眼精疲労が強まります。
スクリーンを見つめる時間が長い時は、なるべく意識的にまばたきをすると良いでしょう。
環境を整える
部屋の照明が明るすぎたり暗すぎると目の負担が増えるので、照明は適度な明るさにして下さい。
PCの画面に外の光が反射して映ると(グレアと呼びます)目に良くないので、スクリーンの位置や外からの光を調節してグレアが発生しないようにします。
長時間座っていても体が疲れにくい人間工学に基づいた椅子を使用するのも良いです。
ドライアイ対策のために、目にエアコンの風が当たらないよう、空気の流れにも注意する必要があります。
目を休ませる
目にはピント機能を調節する筋肉があり、スクリーンを近くでずっと見続けると筋肉が疲労してきます。
筋肉を休ませるために、時々スクリーンから目を離して遠くのものを見るようにすると良いです。
20-20-20ルールというものがあり、デバイスの画面を「20分」見るごとに「20秒」以上、「20フィート(約6m)」以上離れたところを見ることで、目を休ませることができます。
ほかにも目を温める、目の体操をする、目の周りや目に関連する部分のツボを押したり、マッサージをするといった方法が目を休ませるのに役立ちます。
参考リンク:眼精疲労|目と健康シリーズ|三和化学研究所 (skk-net.com)
姿勢や位置の調整
PCを使う時は姿勢や画面との距離が大事になってきます。
机やテーブルに直立して座り、目から約40cm以上のところにスクリーンを置きます。
スクリーンの高さは目の高さより低く、見る距離が目の高さより15~20度くらい低くなるように配置します。
画像の調整
モニターから出る光が強すぎても弱すぎても、デジタル眼精疲労の原因となります。
モニターの光が周囲の光の強さと一致するように明るさを調整します。
朝・昼・晩と外の光の強さも変わってくるので、それに合わせてモニターの光の強さを調整すると良いでしょう。
また、文字の大きさも小さすぎると目が疲れる原因になるので、はっきりと読みやすい大きさとフォントで、明るい背景に暗い色の文字を選ぶと良いです。
スクリーンタイム・トラッキング
スクリーンタイムを使うことで、スクリーンを見ている時間を測定し、スクリーンを長時間見ることを防ぎます。
PCやスマホをよく使う人はスクリーンタイムを測定して、使い過ぎないように歯止めをかけると良いでしょう。
設定を変更することで、PCやスマホを使っている時に休憩を促すお知らせを表示したり、利用時間制限を設定することもできます。
パソコンの時間制限機能とは?シーン別設定方法と長時間使用のリスクも解説 | パソコン博士の知恵袋 (pcdr-chiebukuro.com)
反射防止コートを使ったメガネを使用する
眼鏡を使っている人は、メガネに反射防止コートを加えることで、眼精疲労を軽減できると言われています。
反射防止コートはレンズの光の透過性を上げて、メガネを使っている時の見えやすさを向上させます。
メガネを新しく買う場合などに反射防止コートを入れて眼精疲労の予防に役立てるのも1つの手です。
電子ペーパー
電子書籍は紙の本と違って持ち運びに便利で、多くの書籍を1つの端末で読めるので便利ですが、デジタル機器なので長時間読んでいるとデジタル眼精疲労の原因となることがあります。
電子ペーパーは、比較的紙に近い表示で普通のデジタル機器のスクリーンよりも目に優しいので、どうしても電子書籍を読みたいものの眼精疲労が気になる方は、電子ペーパーの端末を使うのも1つの手です。
その他
ブルーライトが眼精疲労の原因になっているという報告に基づいて、現在ブルーライトカットの眼鏡が市場に出回っています。
ですが、2021年にブルーライトカットの眼鏡がデジタル眼精疲労の防止に役立たたなかったという研究報告がされたことから、現在ではブルーライトをカットしても必ずしも眼精疲労の予防にはならないという見解があります。
ただ、夜間にブルーライトを浴びることで体内時計が乱されて睡眠に影響が出ることから、夜間にブルーライトカットの眼鏡を装着することは睡眠対策の面では無駄ではないと言われています。
まとめ
昨今、デジタル機器を長時間使う人が多くなり、デジタル眼精疲労を自覚している人が大人、子ども問わず増えています。
デジタル眼精疲労は、目の疲れなどの他に頭痛などの体の症状が出ることもあります。
眼精疲労が治らない場合は、白内障や緑内障といった目の病気になっている可能性もあるので、眼科を受診することが必要です。
デジタル眼精疲労の対策としては、長時間デジタル機器を使うことを避ける、画面や部屋の照明の光を調節する、20分ごとに目を休める、姿勢を正して適切な椅子・机を用意するなどがあります。
以上、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
参考文献:Kirandeep Kaur et al, "Digital Eye Strain- A Comprehensive Review" Ophthalmol Ther 2022