今回は朝食の重要性について解説します。
目次
朝食を抜くと病気のリスクが上がる可能性がある
海外の研究では朝食を抜いている人の方が朝食を取っている人よりも、心臓疾患にかかるリスクが27%高く、糖尿病の発症リスクが男性で21%、女性で20%高いという報告がされています。
理由としては、海外では朝食にシリアルなど食物繊維やビタミン類の多く入った食事をすることが多く、朝食を抜くとその分、食物繊維などの栄養素を十分摂取できないことが指摘されています。
朝食を抜くとサーカディアンリズムが乱れる
私たちの体の中には体内時計に関わる時計遺伝子というものがあり、1日の中で時間に応じて代謝やホルモン分泌の調節を行っています。
食事の時間や就寝・起床のリズムなどの生活習慣によって、この時計遺伝子の発現が左右されることが分かっています。
海外のある研究で、朝食と時計遺伝子の関係性を調べるために、健康な人18名と、糖尿病の人18名を、朝食と昼食を取るグループと、朝食を取らず昼食のみのグループの2群にランダムにふり分けて調査を行いました。
結果は、朝食を取らないグループでは時計遺伝子の発現に悪影響があることが報告されました。
時計遺伝子発現への悪影響は、ホルモン分泌にも悪い影響を与え、糖尿病の場合、インスリンというホルモンが正常に分泌されず、血糖値のコントロールが悪くなる可能性が指摘されています。
朝食と栄養・生活習慣
日本での研究報告では、朝食を取っている人の方がたんぱく質や炭水化物、鉄、ビタミンB1、ビタミンB2などの栄養素の摂取量が多いことが報告されています。
報告されている研究は観察研究なので因果関係を証明するものではありませんが、朝食を取る人の方が取らない人よりも大抵1日の食事の回数が多く、様々な食品を摂取できるので、栄養素をバランスよく取れるのだと推測できます。
また、朝食を取っている方が、早寝早起き、睡眠の質が良い、ストレスが少ない、学力が高い、といったことも報告されています。
これらも観察研究なので、朝食を取るとそうした効果があるのか、もともと早寝早起きしたりストレスが少ない人たちが朝食を取る傾向にあるのかのどちらであるかを断定をすることはできません。
ですが、たとえばゲームやスマホで夜更かししたり、深夜寝る前にたくさん食事をとっていて、朝時間がなかったり、お腹が空かず朝食を取っていない人の場合、電子機器の使用で神経が休まらない、胃腸が休まらないといった理由で質の高い睡眠が取れない可能性があります。
睡眠の質が悪いと、日頃から体調が悪かったり、ストレスをためやすくなります。
そういった観点からすると、夜更かしや深夜の食事で朝食を取らない人に比べて、普段から早寝早起きをして朝食を取っている人の方がストレスもたまりにくく、勉強でも成果が出しやすい傾向にあると考えられます。
朝食を取ることで記憶力が上がる
朝食に関わる54の研究をまとめたレビューでは、朝食を取ることで記憶力が上昇することが報告されています。
勉強や仕事を頑張るためには、普段から朝食を取った方が良さそうです。
朝食についてのまとめ
ここまで朝食を取らないことのデメリットと朝食を取ることのメリットを解説してきましたが、研究によっては朝食を取った方が体重が増えたという報告もあり、すべての成人が朝食をとるべきであるとはまだ断定はできないかも知れません。
ただし、成長期の子供は朝食を取った方が栄養面、学力面でもプラスになることが報告されているので、朝食を取るべきと言えます。
基本的にはよほどの理由がなければ私は朝食を取ることをお勧めしています。
朝食を取る習慣がある方が早寝早起きの生活になりますし、朝にエネルギーを摂取する方が午前中の集中力が高まると思います。
ただ、人によっては生活スタイルの関係でどうしても朝食を取ることが難しい、あるいは朝食を取らない方が体調が良いという方もいるかも知れません。
人の生活スタイルや体質は様々であり、朝食を取らない方が良いと感じるのであれば、必ずしも無理をして朝食を取る必要はないと思います。
ですが、繰り返しになりますが、夜更かしをしたり、夜中に暴飲暴食をして朝食が取れない生活をしているのであれば、まずそうした生活は改めてください。
なるべく早寝早起きして夕食の時間を早めに設定し、その上で朝食を取った方が体にとって良さそうと思えるのであれば、朝食を取るのが良いでしょう。
以上、ここまで読んで頂き、ありがとうございました。