今回は認知症予防についての記事になります。
認知症になることを望む人はいません。
認知症になってしまうと家族や周囲の人にも多大な苦労をかけてしまう恐れがあります。
現在、さまざまな生活習慣が認知症の発症に関わっていることが分かっています。
今回はWHOガイドラインの「認知機能低下および認知症のリスク低減」をベースに認知症予防に役立つ生活の注意点について紹介していきたいと思います。
目次
運動を継続する
運動は認知症予防のために良いと報告されています。
どのくらいの運動を行うと良いのでしょうか?
少なくとも1日30分以上は、散歩やジョギングなど何らかの運動を行うのがおすすめです。
できるだけ外出して楽しみながら運動をすると良いでしょう。
楽しいことであれば無理なく継続できます。
旅行、新しい街に出かける、美味しいレストラン巡りといったものであれば、自然とたくさん歩いて運動ができます。
ほかにも
犬の散歩、そうじをする、自転車に乗る、こどもと遊ぶ、農作業、ボウリング、社交ダンス、筋力トレーニング、ゴルフ、ラジオ体操、卓球、野球、水泳、バドミントン、ハイキング、サッカー、スキー、スケート、テニス等々
このように楽しみながらできる運動は数多くあります。
運動が苦手という人でも、競技ではなく楽しむだけであれば、運動は誰でもチャレンジできるものです。
ぜひ、運動することを習慣づけて、運動を楽しみながら継続していただけたらと思います。
運動の効果 | ケントムのブログ (kenseitom.com)
禁煙する
禁煙は認知症予防の観点からも強く推奨されます。
タバコは様々な有害物質を含むため、タバコを吸い続けると脳の神経と血管に悪影響を及ぼすことになります。
さらに吸っている人だけではなく、周囲の人も受動喫煙という形で有害物質を吸い込んでしまうので、公衆衛生の観点からも禁煙が推奨されます。
禁煙は認知症予防だけでなく、がんや脳卒中など様々な病気のリスク低減にも有効であり、健康寿命を延ばす上でも、タバコを吸っている方はぜひ禁煙を検討して下さい。
禁煙をしよう | ケントムのブログ (kenseitom.com)
バランスの取れた食事
バランスの取れた食事が認知症予防のために推奨されています。
日本人の場合、健康的でバランスの取れた食事とは以下の通りです。
・1日400g以上の野菜と果物
・豆類、海藻類を取り入れる
・糖類は取り過ぎない
・食塩は1日5g未満
・不飽和脂肪酸(魚、アボカド、ナッツ、ヒマワリ、キャノーラ、オリーブオイルに含まれている)をなるべくとる
・飽和脂肪酸(脂肪の多い肉、バター、ヤシ、ココナッツオイル、クリーム、チーズ、ギー、ラードに含まれている)は控えめに
・トランス脂肪酸(加工食品、ファストフード、スナック食品、揚げ物、冷凍ピザ、パイ、クッキー、ビスケット、ウエハース、マーガリン、スプレッドに含まれるトランス脂肪酸や、肉・乳製品に含まれる牛、羊、山羊、ラクダのような動物由来のトランス脂肪酸)はなるべく避ける
以上、すべてを毎日守ることは難しいかも知れませんが、食事は健康の源ですので、こうした健康的な食生活を日頃から意識することが大切になります。
お酒は控えめに
お酒の飲み過ぎは脳に良くありません。
認知症予防のためにもお酒は飲まないか、飲んでも控えめにすると良いです。
一般的に飲酒の1日の適量は男性の場合、アルコール20g程度と言われています。
内容は以下の通りです。
・ビール:500ml
・日本酒:1合
・チューハイ(7%):350mL缶1本
・ウィスキー:ダブル1杯
ただ、最近の研究ではこれでも多いのではないかという報告もあり、健康寿命を延ばすためには、さらに少なめにすると良いと思われます。
女性や65歳以上の高齢者は、アルコール分解速度が遅いので、これよりも更に減らす必要があります。
また、このほかにも
・赤型体質の人もお酒は少なめにする
飲んですぐ顔が赤くなる体質を赤型体質と呼びますが、赤型体質の方はアルコール分解が遅く、がんや臓器障害を起こしやすいといわれているので、お酒は少なめにしなければなりません。
・お酒を飲まない休肝日を週2日以上にする
・薬を飲んでいる人はお酒を飲まない
肝臓でアルコールの代謝と、薬の代謝が拮抗して、お酒を飲むことで薬が効きすぎたり、効かなかったりすることがあるので、薬を飲んでいる人はお酒は控えてください。
知的好奇心を持つ
知的活動を積極的に行うことは認知症予防に役立つと考えられます。
若いうちの認知機能の高さを「認知予備脳」と呼びますが、認知予備脳が発達していると認知症予防につながる可能性があると指摘されています。
認知予備脳を高めるには教育を受けること、知的好奇心を高めることが役に立ちます。
特に知的好奇心については、知的活動を続けることで、年齢を重ねても高めることができます。
現代は様々な情報をインターネットや書籍で簡単に入手できるので、やる気さえあればいくつになっても新しいことを学ぶことができます。
ぜひ学び姿勢と知的好奇心を持ち続け、認知症予防だけでなく、学ぶことで人生を豊かなものにして欲しいと思います。
知的好奇心を高めるために | ケントムのブログ (kenseitom.com)
社会活動を行う
社会的孤立は認知症のリスクを高めます。
定期的に他の人とコミュニケーションを取ることが脳機能を保つ上で大切になってきます。
なるべく毎日外出をして、趣味やコミュニティの活動で人と触れ合う機会を持つことが大事になってきます。
その場合も、義務で嫌々やるとモチベーションが保てないので、楽しく活動できる場を見つけると良いです。
現代ではネットにオンライン講座やコミュニティがいくつもあるので、そうした場でコミュニケーションを取るのも良いでしょう。
孤独から抜け出すために | ケントムのブログ (kenseitom.com)
太り過ぎの人は減量する
中年期(45~65歳)の肥満は認知症のリスクを高めることが報告されています。
太り過ぎの方が体重を減らすことは、認知症に関連する様々な代謝因子(耐糖能、インスリン感受性、血圧、酸化ストレス、炎症反応)の改善を通じて、認知症の発症リスクを減らす可能性があると報告されています。
ただし、減量のし過ぎで体重が減ってやせ型になってしまうと、かえって健康を害してしまうことが知られていますので、やせ過ぎには注意です。
太り過ぎというのは厳密に言えば内臓脂肪が多いことを指しています。
腹囲が男性で90cm、女性で85cm以上ある方は、食事や運動による減量で内臓脂肪を減らすことが推奨されます。
高血圧の予防や治療を行う
中年期(45~65歳)の高血圧は、老年期の認知症の発症リスク増加と関連することが報告されています。
高血圧によって脳の血管が破れると、血管性認知症を引き起こす可能性があります。
高血圧は他にも心筋梗塞などの病気のリスクを高めるので、日ごろから運動を行い、塩分の取りすぎやお酒の飲みすぎに注意して高血圧の予防に努めてください。
糖尿病の予防や治療を行う
高齢期(65歳以上)の糖尿病は認知症リスクの上昇と関連しています。
インスリンという血糖値を下げるホルモンは、すい臓で作られて全身に届けられるのですが、脳に運ばれたインスリンは脳神経を保護するよう働きます。
インスリンはアルツハイマー型認知症の原因になるアミロイドβというたんぱく質を増やさないようにも働くのですが、糖尿病や肥満があるとインスリンの産生量が減って、脳神経を保護する働きが低下してしまい、認知症のリスクを高める可能性があります。
糖尿病は遺伝性やほかの病気によって発症するものもありますが、炭水化物・糖質の取りすぎ、運動不足によっても発症するので、日ごろから食事や運動に気をつける必要があります。
悪玉コレステロールや中性脂肪を適度に下げる
中年期(45~65歳)に、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪が高い、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が低い状態は、認知症のリスクを高める可能性があると報告されています。
これらの状態を改善するには、日ごろから適度な運動を行い、炭水化物や肉類、加工食品を取り過ぎず、野菜や魚などの健康的な食品を取るように心がける必要があります。
うつ病への対応
うつ病と認知機能低下や認知症との関連性については、かなりのエビデンスが集積されています。
うつ病を患っている場合は、専門家の診療を受けて、うつ病が悪化しないように治療を継続する必要があります。
難聴への対応
難聴は認知症のリスク増加と関連していると報告されています。
聴力が落ちるとコミュニケーションが上手く取れなくなって社会的に孤立したり、音が聞こえなくなる分、脳を使わなくなって認知機能が低下する原因になってしまいます。
普段から大きい音量で音楽を聴いたり、日常的に強い騒音があると、聴力の低下につながるので、これらを避ける必要があります。
年齢を重ねて耳の聞こえが悪くなってきた場合、それを放置するのではなく、耳鼻咽喉科で診察を受けて、必要に応じて補聴器を使用することが推奨されます。
まとめ
以上、認知症予防のために大切なこととしては
- 運動の継続
- 禁煙
- バランスの取れた食事
- お酒は控えめにする
- 知的好奇心を持つ
- 社会活動を行う
- 太り過ぎの人は減量
- 高血圧・糖尿病の予防や治療を行う
- 悪玉コレステロールや中性脂肪を適度に下げる
- うつ病への対応
- 難聴への対応
これらが重要になってきます。
自身で生活習慣を振り返ってみて改善できるところがあれば改善していただき、身近な人でこういった生活習慣ができていない人がいれば、無理強いはしない形で改善を勧めてあげると良いでしょう。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
参考文献: